2015年1月1日木曜日

今年は”メタアナリシス”

筋トレをすれば筋力を強化できる、ストレッチングは柔軟性を高める、ウォーキングやジョギングで脂肪を減らすことができる、といった、これまで当然のように思われていたことを再検討したい、というのが今年の目標です。

そのために、今年は学ぶための礎に「メタアナリシス」を置こうと考えています。

メタアナリシスとは、「同じテーマの複数の論文を統合し、解析する研究方法」(野口善令 『はじめてのメタアナリシス』 NPO法人健康医療評価研究機構 2009年 p.10)のことです。

スポーツ科学にメタアナリシスを導入すれば、根拠に基づいた運動方法を明らかにできると考えています。運動方法は、経験則からでも導き出すことができます。しかし、経験則だけでは“思い込み”が入りやすく、必ずしも適切な方法を引き出すことはできないと思います。運動は、安全かつ効果的であることが鉄則です。効果が出るとしても、その方法が安全でなければ、運動としては不適切です。安全性が高くても効果が出なければ、その方法はやはり不適切です。

安全かつ効果的な運動方法を明らかにするための1つの方法は、メタアナリシスに基づいた研究だといえます。たとえば、こんな研究が報告されています。

ウォームアップがパフォーマンスに効果があるか、を調べた研究です。
   関連したキーワードを決め、複数の関係雑誌を検索して論文を抽出する。
   抄録と表題から、関係がないと判断される論文を除外する。
   残された論文から、動物を対象としたものを除外する。
   ③で残った論文からパフォーマンスを取り上げていない論文を除外する。
   ④で残った論文からストレッチングだけを調査した論文を除外する。
   残った論文についてメタアナリシスを行う。

こういった手順を経て、ウォームアップはパフォーマンスの向上を導き出すという結論を得ている。
Andrea J. Fradkin, Tsharni R. Zazryn, James M. Smoligaらの”Effects of Warming-up on Physical Performance : A Systematic Review With Meta-analysis” (Journal of Strength and Conditioning Rsearch : 24(1) 140-148, 2010)


筋トレは筋力を強化する、ウォーキングやジョギングは脂肪を燃焼させる、ストレッチングは柔軟性を高める、といった、これまで当然と思われている運動効果をレビューとメタアナリシスを通して再検討し、さらにより適切な運動方法を確立することができたらと考えているのです。

0 件のコメント: