2014年12月18日木曜日

身体と精神の一致

スポーツの成績は、身体能力と精神力に強く影響されます。これらの関係を式で表すと次のようになります。

   スポーツの成績=身体能力×精神力

この関係式から4つの組み合わせができます。
   身体能力と精神力の両方とも強い
   身体能力は強いが精神力は弱い
   身体能力は弱いが精神力は強い
   身体能力と精神力とも弱い

4つの組み合わせの中で、スポーツの成績が最高になるのは①の組み合わせです。逆に、スポーツの成績が最低になるのは④の組み合わせです。②と③の組み合わせは、補完作用が起こり①と④の間の成績となります。

スポーツ選手がもっとも望むのは①の組み合わせであり、もっとも敬遠するのは④の組み合わせです。ところが、多くのスポーツ選手は②と③の組み合わせのようです。すなわち、身体能力と精神力が乖離している選手が多いようです。

身体能力と精神力が乖離していることを知っている選手は、肉体を強化するトレーニングや精神面を強化するトレーニングに励み、身体能力と精神力の一致を目ざします。このように、スポーツ選手の場合、身体と精神を一致させるときトレーニングという手法を取り入れます。

一般の人たちにも、身体と精神の乖離は起きます。その一つの原因は老化です。老化の過程の中で、身体と精神は乖離し、戸惑いが起こります。身体と精神の乖離は健康障害の原因となることもあります。高齢になっても健康を保つには、
身体と精神を一致させる必要性に気づき、それを実践することが必要となります。このあたりのことを表した一文があります。

天野祐吉編『隠居大学 よく遊びよく遊べ』(朝日新聞出版、2011年)に横尾忠則氏が「身体と精神の一致」について、次のようなことを述べています。

「ぼくはですね、六十代までは、身体と精神が乖離していたんですよ。肉体年齢はたしかに六十代なのに、精神年齢は四十代か、せいぜい五十代。まだ若者だという意識が強かったんですね。ところが、六十代後半になると、身体のあちこちにガタが出てきた。そのあたりから、肉体年齢と精神年齢を一致させないとさすがにまずい、七十代を乗り切れないのではないかと思うようになりました。」(p.13-14

横尾氏は、自分主導の生き方を選択したのです。依頼仕事はしない。すべての時間を自分でコントロールする。こういう生き方を実践することで、身体と精神の一致を実現しているというのです。自分主導の生き方を「隠居」だといいます。


スポーツ選手があらゆることを自分主導で、ということを実行するのは難しいでしょう。でも、ほんの一部だけでも自分主導にすれば身体と精神の一致がもたらされ、成績の向上が実現できるのではないでしょうか。私にはそう思えます。

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