2014年12月17日水曜日

日光いろは坂女子駅伝への私見

スポーツの大会を開催する主催者は、参加する選手の安全を保証できるように最善の努力を尽くすのは当然のことでしょう。

そもそも、スポーツそのものが選手の肉体に大きな負担をかけます。その負担が過剰であれば、選手の体は傷められます。死に至ることだってありうるのです。スポーツ選手の安全を確保しながら、選手たちが全力を発揮できる大会を運営するのが、主催者に課せられた責務の1つだと思います。選手の体に過剰な負担をかけるような大会は、あってはいけないのです。ところが、そういう危険性をはらんだ大会が行われていたことを、朝日新聞の夕刊(2014年12月17日版)で知りました。

「日光いろは坂 駅伝根付くか」という見出しで始まる記事が目につきました。この記事では、日光いろは坂で女子駅伝が11月30日に開催されたことが紹介されていました。日光市長を会長とする「日光をランナーの聖地とする実行委員会」主催の大会です。

私がこの大会を問題が多いと感じたのは、記事の中で次のことが書かれていたからです。

   標高差875メートルは、男子選手たちが戦う箱根駅伝5区の最大標高差864メートルより大きい。
    女子が参加する大会である。
    主催者には、この駅伝を紅葉シーズンと年末年始の谷間になる11月の観光の目玉にしたい思いが強い。

標高差の大きい坂を女子が走ると、ひざに大きな負担をかけ、前十字靭帯などの損傷を招く危険性が考えられます。前十字靭帯の損傷は、とくに女性に起きやすいことがこれまでの調査から明らかにされています。心肺機能に過剰な負担をかけ酸素不足の状態を招き、健康を害する可能性もあります。

標高差の高い坂での運動は、安全性が高いとは考えられません。観光の目玉として駅伝を導入するということは、その危険性を軽んじているとしか考えられません。

記事の中に、「賛否両論の中で、開催にこぎ着けた」と書かれています。観光の目玉にするために選手に危険を負わせることに疑問を呈する人がいたのだと想像します。疑問を持つのが当然でしょう。


スポーツの世界に身を置くものとして、選手の安全の保証がない大会を経済効果などの目的のために主催することを認めることはできません。また、選手の安全を保証できない大会にたいせつな選手を出場させることは、指導者として行うべきことではないと考えます。13大学のチームが出場したとのことですが、これらのチームの指導者は果たして出場を許可したのでしょうか。指導者は、その人のことを信じて指導を受けている選手たちの安全を保証することを、何にも増して重視しなければいけないと思います。選手が出場したいと言っても、安全が保証できないよう大会なら、出場させないようにさせるのが指導者の役目だと私は思います。

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