2014年12月16日火曜日

「より遅く、より低く、より弱く」で生きる

「より速く、より高く、より強く」

この言葉は、『オリンピック憲章』に示されている国際オリンピック委員会からのメッセージです。研鑽を呼びかける言葉です。

スポーツ選手たちは、このメッセージのようにより速く、より高く、より強くと、今より少しでもパフォーマンスが向上することを目指してトレーニングに励みます。現状維持に心から満足するスポーツ選手はいないと思います。現状に満足せず、より速く、より高く、より強くなることを目指して飽くなき挑戦を続けます。

向上できなくなった選手たちは、競技の場から退くことになります。スポーツの世界で現役を続けるからには、いま以上に向上することに挑み続けねばなりません。何か、今の社会のようです。

今の社会では、仕事の処理や新幹線などの乗り物の移動は「より速く」なることに価値が置かれています。収入や地位は「より高く」なることが望まれます。発言だって「より強く」アピールすることを大事にされています。こういう考え方が社会の発展をつくる1つの要因だと思います。でも、これとは反対の考え方に私は魅力を感じています。

「より遅く、より低く、より弱く」という生き方があってもよいと思います。

時間を気にせず、各駅停車で移動するなんて最高の旅行でしょう。日々の動作も慌てずゆっくり行えば、怪我することもないでしょうし、優雅な所作になります。

高望みせず目標を「より低く」設定すれば、目標を達成する可能性は格段に高まり、心を安らげることができます。「より低く」とは、言葉を換えれば「身分相応」ということです。

発言も「より弱く」するのです。発言を「より強く」することは、相手の意見を十分に考慮せず自説を押し通すことにつながりがちです。発言を「より弱く」すれば、相手の考えを聞き、自説を洗練させる機会が増えます。


私は「より遅く、より低く、より弱く」を基盤として生き方を続けていきたいと考えています。

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