2014年12月12日金曜日

雨だれ石を穿つ

「雨だれ石を穿(うが)つ」
軒から落ちる雨だれは小さくて軽い。そんな雨だれでも、長い間、同じところに落ち続けていると、いつしか硬い石に穴をあける。

この言葉は、そのような意味だと言われています。

雨だれが硬い石に落ちても、石は雨だれをはじいて平然としています。私たちには、こんな風に見えます。ところが、実際は違うんですね。

雨だれが硬い石に落ちるたび、石は少しずつ削られているのです。一滴の雨だれで削られる量がものすごく少ないので、私たちはその変化を感知できないだけなんです。

「雨だれ石を穿つ」と同じことが体で起こるのだということを、最近、我が身を通して経験しました。

左手の親指が「バネ指」になってしまいました。関節の曲げ伸ばしが円滑にできなくなりました。それだけなら我慢できますが、曲げ伸ばしのたびに耐え難い痛みが起きるのです。その痛みに耐えられず、手の専門医に診療していただくことにしました。治療とリハビリが功を奏しているようで、治療を受けた二日目から痛みは消えました。

バネ指の主な原因は、指の使い過ぎだそうです。思い当たることが多々あります。

スマートフォンは左手で持ち、左手の親指でキーを操作します。タブレットも左手で持ち、落とさないように左親指で支えます。書類のページを繰るのも左親指です。講演などでマイクを支えるのも左親指です。文字を書くときは右手を使いますが、日々の生活の中で左親指を使う機会は圧倒的に多いのです。これがバネ指の原因のようです。


一回ごとに左親指に加わる力はわずかなものです。小さな力が一回だけ加わるのであれば、バネ指になることはなかったでしょう。小さな力でも、同じ場所に繰り返し加わると、その箇所は痛むのです。まさに、「雨だれ石を穿つ」です。

0 件のコメント: