2014年5月18日日曜日

オーバーロードの原理

運動を負荷に体力などを高めるときに守るのがよい原理の1つは「オーバーロードの原理」である。「過負荷の原理」ともいう。

現在の体力をより高めるには、すでに持っている体力を刺激できるだけの負荷を体に与えなければならない。負荷が軽すぎると、体力を高める効果は現れない。強めの負荷が必要なのである。

ここで考えなければならないことは、どの程度の強めの負荷が必要かということである。これが分からないと、「強いほどよい」と考えがちになる。結果、体を痛めることになり、体力向上の効果は生み出せない。

「日常活動強度を越えるレベル」(加藤智巳編著 『実践に生かすスポーツ教養(第2版)』 東京電機大学出版局 2009年 p.38)の負荷が妥当だというのが、一般的な解釈である。

これをスポーツ選手に当てはめれば、「日常活動強度」とは試合や練習などで体に加わる負荷強度ととらえることができると考える。もちろん、一般の人なら、日々の生活で行われる日常活動を越える強度ということになる。ところが、スポーツ選手の場合のトレーニングは、あくまで試合や練習を遂行することが日常活動ととらえるのが妥当である。

ここで、さらに問題が生じる。試合や練習中の強度を測ることが厄介だということである。私は、かつて、この問題を解決するための予備研究を行ったことがある。

大学女子ソフトボール選手1名にお願いし、試合中の筋活動レベルを測定させていただいた。測定した筋は大腿の内転筋である。その結果、試合中の筋活動レベルは最大でも全力の50%ほどであった。


この結果から判断すれば、トレーニング効果を生み出す最低強度は全力の50%を少し上回る程度でもよいということが考えられる。

トレーニングは、安全かつ効果的に行わなければならない。そのことを考慮すると、「強度は強いほどよい」という考えを素直に受け入れられない。私は、できる限り強度は軽めを採用するのがよい、という立場である。異論の方も多いだろう。

今後も、試合中や練習中に選手が発揮している体力レベルを測定する方法について研究を進めたいと考えている。

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