2013年9月4日水曜日

イチロー選手と年齢

イチロー選手が日米通算4000安打を達成した前後に、私はテレビ局や新聞社などの取材を受けた。取材のとき、必ず聞かれる質問は40歳間近のイチロー選手の体力などについてである。イチロー選手自身も年齢と体力の関係について問われている。

私の年齢についての考えは、イチロー選手と同じである。イチロー選手は「年齢への偏見がなければ」という言葉を使って、彼自身、まだまだプレーできることを表現していた。

多くの人たちが日常つかっている「年齢」は「暦年齢」のことである。生まれ年から数えた年齢である。誕生日を迎えるたびに年齢は1歳ずつ増す。暦年齢は戻すことも進めることも留まることもできない。誕生日ごとに確実に1歳ずつ年をとっていく。

年齢を表すのは暦年齢だけではない。「体力年齢」「骨年齢」「皮膚年齢」などもある。人の能力を暦年齢だけで判断するのは偏っている。何を評価したいかによって判断基準とする年齢を変えなければいけない。

野球選手として評価するとき、暦年齢だけでは判断できない。体力年齢などを利用することが重要となる。体力年齢は、概ね暦年齢に関係している。しかし、遺伝によって引き継がれた能力、トレーニング、生活習慣などによって体力年齢は変化する。同じ暦年齢でも、恵まれた遺伝子を持ちトレーニングに励む者の体力は優れたものとなる。逆に、遺伝子に恵まれずトレーニングもしない者の体力は、暦年齢が30歳でも体力年齢は60歳だということもある。

イチロー選手は、野球選手としての評価を暦年齢だけでするの年齢への偏見であり、野球選手として重要な体力年齢などで評価すべきである、ということを伝えてくれたように思う。

それにしても、イチロー選手の発言は要点だけ述べた一言であるが、その一言は深い内容を含んでいるのである、と感心するばかりである。