2013年5月10日金曜日

遠心力とスポーツ


かつて出演したNHKの番組で、元レーシングドライバーの中嶋悟さんから「両ひざの外側がこぶのように膨らんでいる」と教えていただいた。高速度で曲線路を走るとき大きな遠心力に負けないように、両ひざでコックピットの内側を強く押して体を安定させているためにこぶができる、ということであった。

レーシングだけではなく、多くのスポーツでも、回転する選手の体には遠心力が加わる。いったいどれほどの遠心力が選手の体に働いているのだろう。

遠心力の大きさは、((速度の二乗)×(重量))÷(回転半径)で求められる。この式で計算すれば、スポーツ選手の体に働く遠心力の大きさをおおよそ推定できる。

ハンマー投げ。室伏広治選手が重さ7.26キロのハンマーを80メートル投げる瞬間のハンマーの初速度は秒速32メートル、回転半径は2メートルである。したがって、遠心力=(32×32×7.26)÷2=3717ニュートンとなる。ニュートンは力の単位であるが、一般にはなじみがない。1ニュートンは0.1キロであるから、3717ニュートンは、371.7キロとなる。7.26キロのハンマーは、遠心力によって50倍の重さになるのだ。

引退した松井秀喜選手は、990グラムのバットを時速158キロ(秒速44メートル)で振っていた。回転半径は1.4メートである。フルスイングしている松井選手の体には、137キロの遠心力が働いていた。

タイガーウッズ選手が350グラムのクラブをフルスイングするとき、ヘッドスピードは秒速60メートル、回転半径は2.1メートルである。彼の体には、60キロの遠心力が加わっている。

ここに示した遠心力は大ざっぱな推定値であるが、回転するスポーツ選手の体に大きな遠心力が働いていることは間違いなさそうである。

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