2013年5月14日火曜日

筋線維のタイプは取り替えられるか?


筋肉は、筋線維という細胞が集まってできている。筋線維に神経がつながっていて、脳から伝えられた刺激を受けると筋線維は収縮する。収縮するスピードは筋線維によって異なる。最も速く収縮する筋線維をタイプⅡx、次に早く収縮する筋線維をタイプⅡa、収縮スピードがもっとも遅い筋線維をタイプⅠという。体を動かす骨格筋は、この3つのタイプの筋線維でつくられている。

タイプⅡxが多い人は、短時間に爆発的な力を発揮する能力に優れており、短距離走、跳躍、投てきなどのスポーツに向いている。タイプⅠが多い人は、長時間にわたって力を出し続ける持久力に優れており、マラソンなどのスポーツに適している。

3つの筋線維の割合は人によって異なる。タイプⅡxが多い人がいれば、タイプⅠの多い人もいる。かりにタイプⅡxの多い人がマラソン選手になりたくて、タイプⅡxをタイプⅠに変えようとしたとしよう。これは可能なのだろうか。あるいは、筋線維のタイプの割合は生まれつき決まってしまっていることなのか。

この問題については、現在のところ次のように考えられている。

①   筋線維につながっている神経にも、スプリント型とマラソン型とがある。スプリント型の神経をマラソン型の筋線維(タイプⅠ)につなぐとスプリント型の筋線維(タイプⅡx)のように収縮スピードが速くなる。その逆も成り立つ。しかし、このような筋線維を取り替えることはスポーツ選手に実施することはできない。次のような方法なら、スポーツ選手が採用することができるだろう。
②   長距離走のような持久力を必要とするトレーニングを続けると、タイプⅡxが減ってタイプⅠが増えてくる。あるいは、筋力トレーニングを続けるとタイプⅡxからタイプⅡaに移行する。一般に行われているトレーニングで筋線維タイプを取り替えられるのである。

筋線維のタイプを取り替えることは可能なようだが、その変化はわずかであり、競技力を飛躍的に伸ばすほどの画期的な変化は期待できないということのようだ。

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