2012年9月27日木曜日

仮説、因果関係、倫理

今日の本
『医学と仮説-原因と結果の科学を考える』
津田敏秀・著
岩波書店

私は科学研究(スポーツ科学の一分野)に携わっている。自分自身が研究することもあり、また学生(主に大学院生)たちに研究について指導することがある。

最近、研究倫理に関わるようになり、自分自身が深く反省するばかりである。

津田はこの本の中で、「そもそも、科学や因果関係に関して、医学を含む日本の自然科学研究者は、ほとんどトレーニングを受けず、科学哲学に触れたこともないようである。」と指摘している。少なくとも、私はこの指摘に当てはまる。

津田は、さらに「科学研究を成果を文章にした科学論文においては、仮説とその仮説を検証できる観察データが必要不可欠である。観察と並び、仮説、とりわけ検証可能で厳密な仮説を設定することの科学的研究における重要さは、強調しすぎることはない。」とも述べている。この指摘も、私にとっては身につまされることである。

偶然にこの本を知り購入した。”はじめに”の部分を読んだだけであるが、この本を通して私に欠けている科学者としての心得を新たな気持ちで学ぶことにする。

これまで指導してきた学生の諸君には、十分な指導を行うことができなかった。しかし、卒業あるいは修了した学生たちは津田が指摘していることを学び実践しているようである。

どうも私は“反面教師”としての役割を果たしてきたようだ。

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