2012年8月23日木曜日

五感を研ぎ澄ます

かげの独り言
五感を研ぎ澄ます~


 暑さが厳しい夏の間、私のウォーキングタイムは午後8時過ぎになります。この時間帯だと、体をとりまく空気も足もとの地面も熱が下がり暑さが和らぎます。快適とまではいきませんが、不快をあまり感じないでウォーキングができます。
 さらに、この時間帯は車の騒音などがほとんどなくなり、自然が奏でる音を楽しむことができます。水の流れる音、虫の鳴き声、鳥のさえずりなど昼には聞くことができない心地よい音が耳を通して全身に伝わってきます。聴覚が研ぎ澄まされていくようです。
 ところでスポーツ会場の最近の異様な騒音は、何とかならないものでしょうか。集団で一斉に発せする掛け声、メガホンやスティックバルーンを打ちたたく音、とにかくスポーツ会場のほとんどは騒然としているのです。
 競技を戦っているアスリートたちの息づかい、床を蹴る音、ラケットでボールをたたく打撃音など、選手が作り出す音を楽しみたい私にはたいへん迷惑な騒音です。でも、スポーツの中には騒音とは無縁の静寂の中で戦うものもあります。たとえばパラリンピックの種目でもある「ゴールボール」です。
 ゴールボールは視覚障がい者が競い合う3人制の球技です。2つのチームが鈴の入ったボールを転がすように投球しあって、味方のゴールを守りながら相手のゴールにボールを入れ合うゲームです。試合中に頼りになるのは、鈴の音です。鈴の音からボールの位置や速さなどを察知してプレイするのです。だからゲーム中は静寂でないと困ります。だから試合は「クワイエット プリーズ!」(静かに!)と審判が宣言して始まるのです。
 ロンドンオリンピックでは、8月30日から9月7日の間にゴールボールの試合が行われます。テレビ放送があれば、ぜひご覧いただき、選手たちの研ぎ澄まされた聴覚を感じ取ってみるのはいかがでしょうか。

2012年8月22日水曜日

かげの独り言

細胞の再生力と健康長寿

8月22日、豊田市福祉センターで豊田市高年大学受講生を対象にした講演会の講師をさせていただきました。

主催者によると受講生は60歳代から70歳代とのこと。講師の私も65歳であり、今回の講演会は「老々教育」のようなものでした。高齢者が多くなるこれからは、老人が老人を教育する機会が増えて行くような気がしました。

今日の講演では、2年ほど前からほかの講演会でも紹介してきた「健康長寿のためには細胞の再生力を保つことが必要」ということを話させていただきました。

体を構成している臓器は細胞が寄り集まってできています。臓器をつくっている細胞には寿命があり、寿命を全うした細胞は新しい細胞に入れ替わりながら、臓器の働きを維持しています。

細胞の寿命は臓器によって異なっているようです。これまでに報告されている寿命をまとめると、次のようになります。

1つの臓器をつくっている細胞が一気に寿命がくるのではありません。一部の細胞だけに寿命がきて、その細胞が新しい細胞に入れ替わるのです。すなわち細胞の再生力によって、臓器は生きながらえているいってもよいでしょう。

細胞の再生力を維持するためには、十分な睡眠、過不足のない栄養摂取、そして偏りのない運動を継続することが必要だと感じています。ここで言う”偏りのない運動”とは、ウォーキングだけとかストレッチングだけというように”運動の偏食”ではなく、ウォーキング、ストレッチング、筋トレなどの引き出される効果が異なる複数の運動を組み合わせて行うものです。ウォーキングだけというように、1つの運動だけであらゆる効果を期待することなどできません。万能薬のような運動などありません。




2012年8月21日火曜日

新著紹介 『病気をよせつけない足をつくる』

8月24日に、私の新著『病気をよせつけない足をつくる』(草思社)が発売になります。

私たちは重力のある地球で生きています。すなわち、重さのある世界で生きているのです。ただじっと立っているだけでも、片方の足には体重の半分の重さがかかります。ウォーキングやジョギングをしているときには、着地した瞬間に体重の1.5~3倍近い重さが一本の足にかかります。日々の生活の大部分で、私たちは足で体重という自分の重さを支えているのです。

このような働きをしている足が弱くなって体重を支えられなくなると、必然的に運動不足になり、さまざまな病気を引き起こさせることになります。病気をよせつけないためには、体重をしっかりと支えられる足を所有していることが必要です。

この本は、タイトルにある通り、病気をよせつけない足をつくるための具体的な方法を紹介しています。主な内容は次の通りです。

<内容紹介>
脳の血流がアップする、血圧・血糖値が下がる、心臓・骨が強くなる、老後の人生が楽しくなる! 毎日の足の使い方・歩き方の習慣が全身の健康を増進させる!!

Ⅰ.体は足から老化する!
Ⅱ.衰えた足を回復させる方法
Ⅲ.いつまでも歩ける、走れる足をつくるための基礎トレーニング
Ⅳ.足の指と足の裏を刺激して「転倒」に強い足をつくる
Ⅴ.認知症、高血圧、脂質異常症、骨粗しょう症など症状別に効果的な歩き方やふだんからできる足の運動方法などを、わかりやすく、ていねいに説明しています。

どうぞお読みください。

2012年8月18日土曜日

今日の本

木村尚三郎 著
『年寄りはなぜ早起きか』
潮出版社

65歳になり高齢者の仲間入りを無事に果たしたことをきっかけに、”年寄り”、”老人”、“高齢者”といった語がタイトルについている本をみつけると、できる限り読んでみることにしている。この本も、その1つである。

この本を選んだ理由は、タイトルに記されているように年寄りの睡眠について知りたかったからである。ところが目次を見たとたん、これは睡眠の本ではないことがわかった。

考えてみれば、筆者の木村尚三郎氏はフランス中世を中心にヨーロッパに視点をおいた文明に関する専門家である。睡眠の専門家ではない。

最初の目論見ははずれたが、木村氏の豊富な経験から引き出される数々の話題から、これまで知らなかったことを学ぶことができた。

たとえばトラヴェル(旅)である。この言葉の語源はトリパリウムという古代ローマ時代の刑具であることを知った。さらに、中世ヨーロッパでは旅を死刑と同格の刑罰として科していたそうである。

あるいは、次のような文章から日本の美しさを知ることもできた。
「確かに日本の美しさには、音がない。ダン、ダン、ダンとドアをノックして入ってくる欧米流に対し、日本の小笠原流は黙ったまま襖を三度に分けてあけ、入る。一目はほんのちょっとだけあけ、「入りますがよろしいでしょうか」のサインを送る。二度目はもう少しあけて、目で相手の状態を確認する。そして三度目に大きくあけて、入る。「日本流の美しいコミュニケーションです」と先代の32世宗家、故小笠原忠統氏に伺って、いたく感じ入ったことがある。」

この本は次の4章で構成されている。どの章でも氏独自のうんちくに触れることができる。

第1章 この国をみつけなおす
第2章 「地球大交流時代」に生きる
第3章 ”いのち”を噛みしめる
第4章 温故知新―先人に学べ

2012年8月11日土曜日

アスリートを支える練習パートナー

朝日新聞(2012年8月11日夕刊)に、ロンドン五輪男子マラソンに出場する藤原新選手の練習パートナーが紹介されていました。

藤原選手の練習パートナーは、東京都内でスポーツショップを経営している土門広さん(45)です。土門さんは、ロードレース用自転車に乗り藤原選手のペースメーカー役として練習の手伝いを無報酬で請け負っているそうです。

土門さんはペースメーカー役に徹しているだけではありません。iPadを背中につけて藤原選手の走るフォームを撮影し、フォーム分析にも強力しているのです。

アスリートが育つためには練習パートナーが必要であることを、私は授業を通して学生たちに伝えています。土門さんのような人がいることを知り、アスリートにとって練習パートナーの存在が重要だということを改めて確信することができました。

体育・スポーツ系大学で学ぶ学生たちに、これからも練習パートナーの重要性を伝え、できればアスリートの才能を引き出す助けとなる練習パートナーになる学生を育てたいという夢が膨らんできました。

表舞台で活躍するアスリートに注目が集まりやすいのがスポーツですが、土門さんのような黒子のように選手に寄り添い才能を開花させる手助けをするパートナーこそ注目すべき存在であると思います。

2012年8月1日水曜日

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